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明るい金髪に明るい笑顔。身長は高く体は引き締まっており、どこか気品が漂っている。遠目からでも目立つその姿に、女性たちは黄色い声をあげた。 その傍には、赤の混じったピンク色の髪の可愛らしい容姿の少女。見た目とは真逆の神秘的な空気を醸し出す姿に、心動かされた若者たちは思わず目を向けた。 だが、彼らの視線はすぐに彼らの後ろに注がれる。 芽吹いたばかりの新緑のように鮮やかな緑色の髪をなびかせ歩く美しい少女の、女性らしい柔らかな体のラインと、ふわりとしたスカートの裾からのぞく白い足に男たちの目は引きつけられた。 そのすぐ傍を、にこにこと向日葵を連想させるような明るく爽やかな笑顔の好青年が歩いていた。その笑顔に女性たちの胸は高鳴り、茶髪でくるくるとした髪が似合う童顔からは想像できないほど引きしまった肉体に女性達の目は釘付けとなっていた。 そしてその二人の間を歩く人物。 さらりと流れる艶やかな黒髪と、透き通るような白い肌の対比は眩しく、恐ろしいほど整った顔にも驚かされるが、女性がうらやむような細く長く整った肢体に男女関係なく目を奪われた。 モデルの集まりか?何かの撮影?映画?ドラマ?カメラは何処!?というざわめきが至る所から聞こえてくる。そんな彼らの姿を残そうと、カメラを向ける者いるが、野生の勘か、スザクがすぐにルルーシュを隠すように体を移動させるため、シャッターチャンスを皆が逃していた。 何にせよ目立つ。 目立ちすぎる5人だった。 「えっと、あ、ルルーシュ、喉渇かない?どこか喫茶店にでも入って休もうか?」 「ルルーシュは喉が渇いたのか?それならば、あの店なに入ろう!」 「冷たいものがいい?それとも暖かいもの?ルルーシュはどっちが好き?」 「・・・」 「お前たち、敬称なしでルルーシュを呼べるのがうれしいのは解ったが、お茶はさっき飲んだばかりだろう。あまり飲み過ぎると腹を壊すぞ」 お前たちの話のネタはお茶しか無いのか。 無表情のまま何も言わないルルーシュに代わってC.C.がぴしゃりと言った。 なにせ外出先でルルーシュ様やルルーシュ殿下と呼んでしまえば、皇族あるいは貴族だと知られてしまう恐れがある。それでなくても目立つ外見なのだから、そんな面でも目立たれては困ると、今日のお忍びでは「いい、あなたたち。設定は、ルルーシュのお友達。つまり敬称不要。無礼講よ」と、マリアンヌからも言われていた。 気になっている相手を敬称不要で呼べるのだ。 雲の上にいたルルーシュが、自分たちと同じ地上におりて来てくれたようにも錯覚する。それだけで、三人はテンションが可笑しなことになっていた。 スザクがルルーシュに気があるのは知っている。ジノもすぐに解ったが、まさかアーニャもとはな。どんな魔性の男だこいつは。と、C.C.は呆れながらおかしなテンションの三人を見ていた。 特に喜んでいるのはスザクだろう。 事あるごとにルルーシュ、ルルーシュと煩い。 「・・・お前たち、今日は何のためにこうしているか、忘れていないな?」 ぴしりと空気が固まるほど低い声で言われ、スザク達の顔は一瞬で固まった。不愉快そうな目でぎろりと睨まれ「当然です殿下」と小声で返すのが精いっぱいだった。 「ならばいい、俺の命がかかっている事を忘れるな」 「「「イエスユアハイネス」」」 周りに聞こえないよう小声で三人は返礼した。 |